まちまちマーチ

日常のどうでもいいことだけ。更新はまちまちです。

アラサーになって初めて外泊が許可された話

    タイトルの通りだ。私は今、友人の家に泊まっている。一般家庭であればよくあることだろう。しかし、私の家は厳しかった。異常に厳しかった。

    病気や怪我をすれば怒鳴られ、治るまで家で放置。友人からゲームや本を借りるのは禁止。中学生の頃、約束を破って友人からHUNTER × HUNTERのコミックを借りた姉は父親から酷く叱られ、借りた漫画もズタズタに引き裂かれて捨てられた。

    大人になって一つ気付いたことがある。それは自身の「異常なほどの経験の少なさ」である。私たちは子どもだった。子どもであるからには、保護者が必要だ。しかし、我が家の場合、保護者というよりは支配者に近かった。私の父親は子どもを「所有物」と思う気持ちがかなり強く、常に自分の思う通りに動いて、返事をして、機嫌を取らないとすぐに暴力を振るった。この父親が、嫌なストッパーとして人生に制限をかけ続けていた。

    小学生の頃の話だが、友人の男の子と下校していたら、それを見た父親が激昂し、二時間ほど説教をされた記憶がある。父親は私たちに性的なイタズラをしていた。そのため、特別な感情や思い入れなどがあったのかもしれない。私は現実の子どもに性欲がわかないから分からない。

    その他にも、お小遣い(という制度)がないから流行りのものが分からない。バスに乗せてもらったことがないから高校生になってもバスの乗り方が分からない。学校の授業以外で初めて電車に乗ったのは成人してから数年後のことだ。

    私も私のきょうだいもそうだが、親から極端に金とコストをかけられずに育っている。一般家庭であれば生きているだけで会得できる、当たり前のことが大人にならないと経験できないのだ。

    こんな家庭で育った私だが、今日初めて「外泊」というものをした。髪を染めた帰りに、偶然バイト終わりの友人と会い、飲みに行くことになった。友人の行きつけのバーで飲み、色々な話をした。絵の話、ショタとシーメールが好きすぎるからエロ本を出したいという話、我慢汁のことを「第一チンポ汁」と言う天才が現れた話...。とにかく楽しかった。マスターと友人と私、全員がずっと下ネタばかりを言っていた気がする。めちゃくちゃ楽しかった。

    バーを出て、友人がお好み焼きを食べに行こうと提案してくれた。バーの近所に気になっていたお好み焼き屋があるというのだ。行ってみると、私たち以外に一組しか客がいなかった。席に座って空いててよかったねー、などと話していると滝のように客が入ってきた。ウェイターのおばさんが店中を忙しく歩き回っており、気圧の配置によってはおばさんを中心としたタイフーンができそうなほどだった。あと全然関係ないけど、店に来る人全員がおばさんのことを「お姉さん」って言っててめちゃくちゃ良かった。私も90とかになってもお姉さんって呼ばれたいし。話を戻そう。注文を済ませると、5分ほどでお好み焼きが出てきた。

    野菜たっぷりでめちゃくちゃ美味しかった!!完全に好みの話になるのだが、中にエビが入ってて嬉しかった。エビって美味いですよね。海産物の中で一番好き。

    お好み焼きを半分ほど食べたところで、隣に二人組のおじさんがやってきた。めちゃくちゃ酔っていて、ダル絡みしてきた。友人は元々コンカフェ嬢だったので、めちゃくちゃおじさんの捌き方が上手く「今、プロの接客を見せられている...!!」になった。完全に「仕事」だった。

    お好み焼きを食べ終え、店を出ようとすると、おじさんが飲み物を奢るからおしゃべりしてくれ!!とのこと。友人は生ビールを頼み、私は烏龍茶を頼んだ。これは解脱カルビライフハックなのだが、美人の友人と飯屋に行くと、高確率で奢りが発生する。なんなら店からのサービスもある。すごい。美人ってすごい。得した。おじさんとしばらくおしゃべりしていたら、ナンパのフェーズに入ったので、友人が綺麗に切り上げて、店から連れ出してくれた。実に鮮やかな手口だった。

    その後、帰宅。現在、2時15分。ブログを書いている。私は人生で初めて外泊をしている。アラサーになって「初めて」「条件付きで」外泊の許可が出たのだ。条件付きだろうが外泊は外泊。父親の成長を感じてしまっている自分がいる。というか、父親が「外泊を許可する」っていう簡単なことを、60代になった今、やっとできるようになったことに驚いている。親って加齢で偏屈になっていくだけだと思っていたので、親が新たになにかをできるようになった瞬間を生で見て、相当感動している。親ってまだ成長できるんだ。それはそれとして、姉夫婦と絶縁する!!とか言ってるので、諦めた方がいい部分もあるのかもしれない。

    ちなみに、友人の家では大画面のテレビでアル中カラカラの料理動画を観て、爆笑して過ごした。YouTubeがなかったらただの経口摂取するタイプの自傷行為だが、現代にはYouTubeがある。彼はカメラに映っている間だけ「エンタメ」になれる。素晴らしい時代だ。彼と、彼を「配信者」にしてくれたYouTubeに、乾杯。

 

-おわり-